例年どおり大問が2つ。論説文と物語分という構成。課題文の長さ・記述の量ともに平年並みといえます。
新6年生の方々にまずご注目いただきたのが、解答欄における記述の占める割合です。漢字の書き取りや記号選択式の穴埋め問題はわずかであり、ほとんどが記述問題で占められています。記述問題でいくつか不正解となってしまったら、桜蔭中の合格はかなり厳しくなるでしょう。
課題文の長さのわりに、傍線部が少ないことも桜蔭中の国語の特徴です。たとえば大問Iの論説文では、課題文全体の7割以上を読み進めたところではじめて最初の傍線部が登場します。問う内容も、課題文全体にちりばめられた要旨を的確にまとめさせ、自分の言葉で書かせるものです。
中学受験の国語の指導では「傍線部の周辺に注目した読解」をまず教えます。一般的な学校では、傍線部の周辺に答えが隠れている場合が多いからです。ですがこのテクニックだけでは桜蔭中の国語には太刀打ちできないでしょう。
例年に比べて易しくなっています。全体の内容を素直に問う問題ですので、問2・問3ともに押さえるべきポイントをつぶさに拾い、文中のキーワードを再構成していけば得点することができます。平易な問題ですので、あまり差はつかなかったかと思われます。桜蔭中を目指すのであれば、この程度でしたらミスは許されません。
漢字・空欄埋めは、ともにつまずく要素のない問題です。
問2は文中の表現がもたらす効果を書かせる問題。読めば情景が頭の中に広がるような描写ですので、それを素直に解答へ反映させられれば十分に完答できます。
問3は「ヒロシマ」というカタカナ表記にはどのような意味合いが含まれているのかを問う問題。これは文中から読み取るというよりも受験生の語彙力を測るもので、桜蔭中を受けるレベルでしたら問題なく取れるでしょう。
問5は(1)(2)ともに、文意をふまえてキーワードを拾って再構成するだけでは足りません。自分のアイデアと言葉を補足して 文をまとめる必要があります。
大問IIでは、総じて自分の言葉で書かせる要素が多くなっています。文中の語句を組み合わせる記述はもちろんのこと、さらに文意にあわせて、得点につながりうるキーワードを自分で考えて、記述する解答のなかに盛り込むことができるような訓練が必要となります。