まずは問題用紙・解答用紙ともに書かれているこの文章にご注目ください。
式や図や計算などは、他の場所や裏面などにかかないで、すべて解答用紙のその問題の場所にかきなさい。
これは、どのような思考のプロセスを経て正解へたどり着いたのか(たどり着こうとしたのか)をつぶさに検討するためです。つまり以下のように言い換えることができます。
たとえ正解まで行かなくても、途中まで気付いたポイントだけで部分点はあげるよ。
開成という学校がいかに思考力を重視しているかが、こんなところにも表れていますね。これは東大が出題する数学と密接に関係していますが、紙幅の都合もありますのでセミナーにて解説させていただきます。
開成の算数は、わからない問題でもとにかく考え続ける・少しでも気付いた点は解答用紙に書く、という姿勢が重要です。
計算しようとする内容や・答える方針について、短く言語化して書くのは有効な方法です。
「僕はここまでは気付きました」と、出題者に伝えるのです。
大問1については、開成受験生にとっては楽な問題。見た目が多少変わっているだけの計算問題に、ごくごくベーシックな平面図形の問題。完答が必須でしょう。
大問2もさして難しい問題ではありません。ニュートン算をベースに多少の捻りが加えてあるものの、落ち着いて線文図を書けば、正解に近付けます。大問1・2はベーシックな処理能力をみているようですが、ほとんど差がつかなかったものと思われます。
大問3は組み合わせの問題。今年の問題の中で受験生を最も手こずらせたのはこれでしょう。まず大前提として、問題文および(1)で出されるヒントをきちんとくみ取ることが必須です。そこから先は、つぶさに丁寧に場合分けをしていく緻密さが求められます。
特に、(3)まで解答しきるのは大変だったかと思います。完答するには、式に直すと複雑な法則性にいち早く気がつくか、あるいは丁寧な場合分けを素早く正確に行う必要があります。法則性を見つけ出してスマートに攻略できた場合は、次の大問4を解く時間にかなり余裕がでたかと思います。
時間が足りなくなったとしても、理解できたところまでは解答用紙に書き込んで、少しでも部分点をもぎ取りましょう。
大問4は立体図形。開成のお家芸です。立方体を切断し、その断面図の面積なり切断後の体積なりを求める問題。開成を志す受験生は、これからいやというほど取り組むことになります。ですがその苦しい受験勉強をきっちりと乗り越えることができれば、得点することは可能です。
場数を踏むことで、補助線をいかに引くかというポイントをつかむことができますし、空間把握そのものも容易になってきます。算数が一番の武器だという受験生は、大問4を手早く終えたうえで、大問3の複雑な組み合わせに時間を割いたかと思います。