2012年 開成中『算数』入試分析

大問4つというのは例年と変わらないが、全体的に去年よりも難しくなっている。

ここ数年、出題されることが増えてきた消費税・割引問題。きちんと読み取って落ち着いて対応すれば問題ない。スマートな解法を模索するというより、書き出すことで正解にたどりついた、という受験生も多かったのではないだろうか。

泥臭い力技も時には最善の手となるので、「書き出し」や「当てはめ」を駆使した工夫を忘れずにやっていきたい。そういった練習を積むことで、漏れなく書き出していく「緻密さ」も自然と身についていく。

平面図形と比の集大成的な問題。

問1は「面積比」と「辺の比」の行き来が頻繁に要求されるため、平面図形の習熟が必要。
問2は平面図形を軸回転させて立体図形にする問題。
桜蔭中でも出題されたが、こちらのほうが難度は高い。
余談だが、理科でも開成中と桜蔭中で同じ内容が出題された部分がある。

問1を突破できれば、底面積の比から算出していける。
落ち着いて取り組みさえすれば、底面積はBDの2乗・CDの2乗ということがわかり、完答が見えてくる。

大問1・4が力技で得点しやすく、大問3が難問だったことを考えると、今年の合否を分けたのはおそらくこの大問2だっただろう。

図形の問題は、比を使える部分をどう見つけていくかにかかってくる問題も多い。
1つのパターンを丸暗記するような勉強法ではなく、多様なパターンの問題に触れることで、「どういう問題に対しても、その場で自分で考えて解ける力」を養うことが最も大切である。

「つるかめ算にトンボが混ざったもの」のように見えるが、それでは正解にたどりつけない。今年で1番の難問。

2つの条件を文字式にして引き算することで、「つる×2=かめ+とんぼ」という状態をまず作る。そこから一文字消去して「つる×5+とんぼ=100」という式に至れれば、とんぼの数が5の倍数だと判明する。

とんぼの数が5・10・15・20・25・30の6通りまでに絞り込めるので、あとは1つ1つ検証する……というのが解法ではあるが、入試の場でここまでたどりつけた受験生がどれだけいただろうか。

時間内に解けそうにないと感じる問題は捨てて、着実に点を取れるものから手をつけるという判断が必要になる場合もある。まずざっと全ての問題に目を通したうえで、解く順番を決めていく習慣を身につけたい。

約数と規則性についての問題。落ち着いて少し書き出していけば、問1から問2の規則性をみつけることはけっして難しくない。
問3からは、ベン図を使って倍数の数を求めることに慣れていると、計算の省力化が可能。と同時に書き出しもまた有用な手段である。
問3まで答えられれば、問4は素数がカギとなることもピンと来るはず。素数の個数は35個だということも明示してくれており、13以上の素数は検討しなくていいということも導き出せる。あとは時間との勝負だろう。


総評としては、昨年の反動からか全般的に難しくなったといえる。
ここ数年の特徴として、処理能力のスピードを問う問題(大問1はその最たる例)が多い。今年はそこに東大入試を意識してか、整数に関する難問が増えた。一方で立体の難問は姿を消した。
今後の開成中対策としては、従来通りの「基本的な解き方を正確に積み重ねることで難問を解く訓練」や、「立体図形の感覚を養う訓練」のほかに、約数・倍数をはじめとする整数問題に親しむこと、書き出しや当てはめなどの地道な作業をムダなく漏れなく積み重ねることも必要となりそうだ。

大問1と大問4の(1)~(3)まで解けるのは大前提。そのうえで大問2の比に気づき、大問3にも食らいつくことができれば、算数を得点源にできたといえるだろう。
逆に大問2・3で時間を取りすぎた結果、大問1・4を落としてしまっては厳しい。



2012年

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