例年どおり、時間のかからない問題とヘビーな問題とが混在している。大問の番号順に並んでいるわけではないというのも例年と同じ。そして最大の特徴は、「すべての受験生に共通する捨て問」というものがない場合が多いこと。
まず全体を見渡して、確実に取れるものと手のかかりそうなものとに分けよう。そのうえで、確実に取れるものを手早く解答していく。手のかかる問題については、自分が部分点を取りやすそうなものから着手していこう。
月の運行を元にした日付の問題。
確実に取りたい問題。麻布では閏年をからめた問題が出題されやすい傾向にあるので、志望者は意識しておくといいだろう。
平面図形。
円と三角形の性質が組み合わされた良問。
2つの円の中心を軸として補助線を引くと、「4つの扇形から中央のひし形の面積を引く」という図が見えてくる。このひし形は30°の二等辺三角形であるため、高さは1.5だと出すことができる。
補助線を引くコツは、「いろいろやってみること」と「図形の性質に即した線を引く」ことである。円ならば中心にまつわるものや、半径に関係するもの。三角形なら高さにまつわるもの・相似形を作るもの。それ以上の多角形なら対角線にまつわるものなどが代表的。
しかしこれらはあくまで例にすぎない。日ごろからさまざまな図形の問題にチャレンジすることで、体が自然に補助線をいろいろ引いていけるようにしていきたい。
旅人算が2割、比が8割の問題
比較的素直な問題といえる。(1)、(2)、(3)と順を追って解答していける。気をつける点は「余計に歩いた距離は、引き返した距離×2である」という点くらいか。
数の性質
ていねいに書き出すことで、各員のコイン枚数の差がどういうペースで増えていくのかの法則性を導き出す問題。
(1)は差が奇数である段階で、最後に取ったのはAであることは自明。何回目なのかをていねいに出せばよい。
(2)は登場人物が3人に増えるが、「ていねいに書き出す」という意味では変わらない。「1・2・3」ではなく「1・2・4」である点に注意して、1回目から順に書き出していけば、誰の枚数がどういうペースで増えていくかの法則を見つけ出せる。あとは87枚になりうる人と、そのときの枚数を出すだけ。
(2)の書き出し処理は、時間がかかる受験生とそうでない受験生がいるだろう。もし書き出しが苦手だという自覚があるなら、途中式までで他の問題にまわるというのも現実的な選択肢だろう。
立体図形に見えるが、簡単な比の問題。
体積比と辺の比の関係さえ把握していれば答えを出すのは簡単。(1)、(2)ともに確実に得点していきたい。
立体図形と場合の数の複合。
(1)は時間がかからないが、(2)からは「処理の速さ」だけでなく「抜け・漏れなくすべてのパターンを網羅していく緻密さ」が求められる。もちろんスタート地点に戻るパターンもだ。
(3)は見落としなく全ての移動パターンを見つけていく問題。(4)はその全てのパターンにおける、8面ダイスの目の合計を答える問題。(3)に着手する前に(4)で何が問われるかも読んでおけば、(3)と(4)で同時に処理することができる。二度手間を避ける意味でも、「最初に問題文全体に目を通す」という習慣をつけていきたい。
細かい点だが、(3)や(4)を思考するうえで、どうしても(2)の解答欄を使うことになる。あくまで(2)の解答欄なので、思考錯誤した形跡は試験終了時までに消しておきたい。