算数
例年どおり大問5つ。内容は易化した。しかし「差が出ない問題ではない」。取れる子と取れない子には明確な差がある。今年の場合、合格点を取るために必要な要素は以下のとおり。
- 素直に問題文の誘導に乗って考えを進める習慣
- 数の性質を「頭で理解している」レベルではなく「体に染み付いている」レベルで習得すること
- 問題の条件を的確に理解して処理していく緻密さ
- 素早く正確な計算力
この中で、差が出る要素・鍛えづらい要素は1と2である。ともに「来月のテストでいい点を取って上のクラスに行くための勉強」をしている環境では伸びないからだ。
受験勉強は入試で合格得点を取るために行うものであって、目先のテストのために行うものではない。ここを履き違えることなく、入試に必要な力を養ってもらいたい。大手塾の大規模校舎において、月例テスト対策をしないでトップクラスに常駐できている子はそれでいい。そうでないならば、「入試の本質に触れられる環境」を早いうちから意識的に設けることが肝要といえる。
国語
例年通り、説明文・物語文の大問2つ。記述形式も変わらず、説明文は字数制限なし。物語文の最後には200文字の記述が課せられるという構成。
大問1 説明文
指輪物語(映画ロードオブザリングの原作)を題材とした比較文化論だが、例年に比べて平易といえる。自分の引き出しの中から書く必要はなく、的確に本文の言葉で説明していけば、各問とも完答に準ずる点数を得られるはず。
漢字や接続詞問題の完答は当然。
記述で得点するために必要なのは以下の3点。
- 最初に本文を読んだ段階で、全体の流れをきちんと掴む。
- 傍線部とその周辺だけを見て答えを書く習慣を改める(この指導に終始している塾講師は残念ながら多い)。
- 設問で聞かれている内容が何なのかをしっかり捉えて、問われたことを答える。
この3点は記述中心の学校の国語を攻略するうえで共通する基本事項であると同時に、入試直前までトレーニングしつづける「記述の奥義」と言える。
大問2 物語文
語彙は一つも落とせない。そのうえで2つの記述。(4)は比較的得点しやすいが、最後の200字記述がなかなかの難物。設問に「くわしく説明しなさい」としかないからだ。「○○を踏まえて答えなさい」といった形であればそれによって答案の方向性を決定づけられるが、そういった先鞭がないため、なにを持ってくわしい説明とするのかは受験生自身に委ねられている。おそらく答案は相当にバリエーション豊かなものとなっただろう。
得点していくポイントは、『素早い決断』に尽きる。
試験時間は限られているため、何度も読み返したうえで答案を推敲する余裕はない。だが桜蔭受験生であれば、本文を1度読めばこの設問に対するキーポイントがいくつか閃くはず。それらをまとめて200文字に収めれば、少なくとも0点になることはない。
記述は完答を目指すのではなく、6〜7割の完成度をコンスタントに取ることを意識して、入試演習に臨んでもらいたい。
理科
大問一 すい星を用いた天体の問題。太陽・地球・月の関係をきちんと理解していれば、その図の中にすい星が横切ったとしても答えられるだろう。日食関連の問題が増える昨今、天体の問題の本質を突いた良問といえる。個々の関係を一対一対応で覚えるのではなく、自転・公転の三次元的な学習を。
大問二 変温動物に関する実験結果を読み取らせる生物の問題。トカゲに関する知識が乏しくとも、与えられた条件やグラフに素直に乗れば、おのずと得点できるはず。
大問三 ばねとてこの複合問題。桜蔭が出すレベルとしては普通。落ち着いて伸び方・力配分を考えて、丁寧に計算すればいい。だが大問1・2で時間を使いすぎた場合、焦りから読み違いや計算ミスが出てくるかもしれない。
大問四 燃焼に関する基本的な問題。1つも落とせない。
総括すれば、国語・算数の失点をカバーできるものではない。しかし理科が合否を分けるような学校もあるため、桜蔭受験生は併願校のことも考えると、理科もそう手を抜けないのが現状だろう。大問一のような本質的な理解を心がけて、暗記に頼らない確固たる学力を磨いてもらいたい。
社会
やや地理分野が多いが、それ以外は通常どおりの桜蔭の社会といえる。各分野における広範な知識が求められるが、ただ覚えるだけで得点するのではなく、身につけた知識をバックボーンとして推測・判断したうえで答える問題が散見される。
中には一部難問があるが、それ以外の部分で得点していけば、社会で失敗して不合格という事態は防げる。 と同時に、他教科の失敗を社会でカバーということは不可能な構成。 社会が得意な子はつい社会の勉強をしてしまいがちだが、それはあくまで勉強をはじめるための助走にとどめ、算数・国語の力を伸ばすことを第一としていただきたい。