算数
昨年と比較して全体的に易化したといえる。計算のスピードと正確さを意識してあげていくことはもちろん、条件どおりに書き出していく処理についてもクオリティを高めていく必要がある。「みんなが取れる問題」が増えているため、確実さを重視していこう。
大問1
計算および仕事算+カレンダーの問題
計算は面倒だが手早く正確にすませたい。
仕事算とカレンダーの問題には、公倍数・書き出しの緻密さ・カレンダー処理の丁寧さが求められる。時間さえかければ正解することは容易だが、これに時間を取られていては合格はおぼつかない。解答欄に式が要求されていないとおり、桜蔭生にとってこれは計算問題にすぎないのだ。
大問2
数の性質
「まず何かとりかかってみる」という資質さえあれば平易な問題。108を9×12に、あるいは6×18に分解してみて、他の数字と矛盾しないか当てはめていけばよい。6の倍数や9の倍数といった、受験生になじみ深い数であるゆえ、さして時間はかからないはず。念のため、検算をするクセもつけておきたい。
大問3
旅人算
もっとも重要なのは丁寧さ。(1)でグラフを書きながら、問題分の条件に慣れていく。(2)の確実なやり方は、そのままグラフを書き続けること。
算数はすべての問題について、頭の中で最短ルートがひらめくわけではない。そして、最短ルートがひらめかなかった段階で「わからない」と言ってしまう子はたいへん多い。しかし、与えられた条件のもとで「書き出す」あるいは「当てはめる」といったことを繰り返すことで、規則性なり上手い解法なりを見つけていくことは可能である。
「考える力」の中には「法則を見つけ出す労を惜しまない姿勢」も含まれるのだ。
大問4
平面図形+比
早くて正確な計算力をベースとして、図形の基本と比の基本を問う良問。新小6に上がり立ての子でも正解可能なのでぜひチャレンジしていただきたい。
「1本の辺の長さが同じならば、もう1方の辺の長さの比がそのまま面積比になる」ということは自明であるし、「A×P=B×Qの場合、P:Q=B:Aである」というのも自明である。
「A+B=247」で「297×A=73.5×B」というところにたどりつけば正解はすぐそこだ。
大問5
立体図形
処理は煩雑だが、例年よりも易化している。
(1)と(2)は桜蔭受験生なら朝飯前だろう。(3)は時間がかかるがけっして難しいわけではない。穴を開けることによって消える表面と、新たに生まれる表面とを丁寧に洗いだすことで正解できる。
しかし、計算のやり方に工夫の余地はある。問題分の順番どおり「円Aの穴をあけてから正方形Bの穴をあける」という処理をするよりも、「正方形Bの穴をあけてから円Aの穴をあける」という手順で計算したほうがずっと楽になる。
これに気付くためにも、「3.14のからむ計算はなるべく後回しにして回数を減らす」という習慣を早いうちに身につけたい。
国語
全体的に、例年通り中学受験最高峰の難度といえる。算数が易しかったことをふまえれば、国語の比重は例年よりも大きかっただろう。桜蔭を目指すのなら、新小6に上がった段階で入試を使った演習をするくらいのつもりで臨まれたい。
大問I
(1)と(2)については平易な問題である。確実に得点してきたい。
(3)はなかなかの曲者。単純な穴埋めに見えて、実は本文全体を把握する必要がある。解法のポイントは、引用されている「文章」の中から、筆者の思い出話と共通する箇所を拾いつつ、それらが「一心不乱に励行した」という理由づけになるものを2つ挙げること。 だがしかし、それでもいくつかの答えが想定できる。こういった場合はどれが絶対的な正解なのかを受験生が導き出すのは難しい。最終的には原典を紐解くしかないのだから、上記のロジカルな部分を踏まえつつ、自信をもって答えを書いて次の問題に進まれたい。
(4)は解答欄のきわめて大きな難問。傍線部5の「健全」という言葉を筆者がどういう意味で使っているのか……それをきちんと汲み取っていく必要がある。つまりこの問題で求められているのは、中学受験の国語の基本である「他者共感」の力である。 しかしそれは、ただ思うがままに「健全」という言葉の意味を推量したり、あるいは無思慮に筆者の意見に賛同したりすることではない。筆者が傍線部4の行為を「健全」と評している理由や根拠を、本文の中から拾い上げることで、はじめて「筆者に共感した」と言えるのである。
この手の大きな記述問題を解くうえで大切なのは、「満点を取る」ことではなく「できるだけ得点をする」ということ。本問の場合、筆者はこの「健全」という言葉をどういう意味で使っているのかという説明と、その根拠となるエピソードを指摘することが肝となる。そこさえ押さえれば、「この問題ができなかったがゆえに不合格」ということにはならないはずだ。
大問2
(1)の穴埋めは平易。
(2)も苦戦することはないだろう。
(3)は「くわしく説明しなさい」という問題で、解答欄のサイズもそれなりに大きい。「なぜ見たことないものを不気味と感じるのか」を説明するだけでなく、主人公の心理にも言及していく必要がある。
(4)答案に盛り込む要素は「傍線アの時点でのぼく」、「傍線イの時点でのぼく」、「前2つがどのように違うか」、「その違いを生じさせた経験は何か」である。大問1の重たさや、記述答案をまとめる時間も加味すると、この本文を何度も読み返す余裕はない。また、算数が易化したことをあわせて考えれば、国語でいかに得点できるかが合否の分かれ目となったことだろう。
桜蔭受験生に求められるのは「記述答案を素早く・過不足なくまとめる力」だけでなく、「最初に読むときに大まかな要素をきちんと掴める読解力」という、受験国語の本質であることに留意されたい。
(5)は、この物語が一人称視点で書かれていることに注目。地の文で「それ専用の言葉があるんだろうけど、ぼくはまだ知らない」とある以上、言い換えられる言葉は「知らない」と言っている時点よりも後に、主人公以外の人物の口から出てくることとなる。
理科
全体としては、昨年と同等程度の易しい問題だったといえる。受験生は基本的な知識を確実におさえていくとともに、実験結果を読み取る・長い問題文の意図をしっかりと把握するといった力を伸ばしていっていただきたい。
大問1
地学(岩石・地層)一般
問1は変成岩の生成過程を問う出題。やや細かいが、大理石の生成を問う出題など、過去の入試問題演習で目にしたことのある受験生もいたかもしれない。
問2以降は平易な問題が続いている。問7の「かぎ層」は、示準化石と同じ利用の仕方とわかれば容易。
大問2
昆虫およびその生態観察実験について。
問1-4は基本レベル。
問5はミツバチを果樹栽培時の受粉者として利用できることに気づけるか。
問6・7は実験結果を見比べる問題。条件を照らし合わせて、同じ条件の要素を消去していく。条件が異なるときに、優先されるのはどちらなのかを読み取れるかがカギとなる。
たとえば形は実験5、においは実験6で判断できるし、色については実験1と3を比較していく。形・におい・色の優先順位も同じように実験結果を比較して導き出していこう。
大問3
熱の伝わり方
問1-4は基本レベル。
問5は下の実験との比較をする際に、実験開始の時点の温度・重量ともに異なる点に留意。
問6温度変化についての比例配分の問題。鉄の両が2倍になっているので、温度変化は1:10だが、実際は1:5となる。
問7や問8も問6と同様に、重量差に着目する必要がある。苦労した受験生も多いだろう。
問9は、ガラス容器の方が熱を伝えやすい→容器全体の温度が下がりやすくなることに気づければ解答しやすい。
大問4
コイルを流れる電流の向きと磁界の関係の問題
全体的に平易。右ねじの法則を使えば解きやすいはず。
大問5
時事問題
けっして難しいものではないので確実に得点しておきたい。
試験開始時にざっと問題全体に目を通し、ここから得点して弾みをつけた受験生もいるだろう。
社会
大問1
エネルギー資源、日本の家屋などに関する地理総合問題。計5問。
問1 日本の家屋の部分の名称を問う問題で庇や土間、囲炉裏などの選択肢が並ぶ。普段あまり耳にしない語句もあるかもしれないが文中の語句をヒントに確実に得点したい。
問2 各地の特産物を選択する問題。あさり飯、きりたんぽ鍋、柿の葉寿司、しじみ汁、ます寿司の5つを地図中の北海道、岩手、秋田、東京、富山、奈良、島根、宮崎の8つから選ぶ問題。特産物の問題は近年、増加の傾向にあり、宍道湖のしじみの養殖など水産物などの基礎知識に合わせて、確認しておきたい。
その他、大飯原発の再稼働やブリックスなど時事問題を絡めた出題も多いが、比較的平易な問題であり、高得点を狙いたい。
大問2
東北への修学旅行行程を題材にした歴史総合問題。計14問
伝統的な正誤問題で、選択肢の文章中にある基礎事項を注意深く読み取っていくべき。それぞれの設問で問われている内容は難しくないので、ミスを避けて、全問正解できるように準備したい。
問8 伝統的住居の正誤問題。サウジアラビアの住居やロシアの住居についての記述があるが、正解となる誤りの部分は岐阜県の白川郷→富山県の白川郷。ユネスコの世界遺産は頻出であり、基礎事項として定着しているはず。あくまで基礎的なところが問われていると考えて注意してのぞみたい。
大問3
日本国憲法、国際政治、地方自治、経済などに関する問題。計5問
一部、読み取りにくい問題はあるが、難問はない。普段の授業の知識で十分正答できる。
短文記述が2問あるが、十分に完答可能な内容。