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「考える力を鍛えよう」学習会

2012年 桜蔭中学入試分析

2012年桜蔭中学の算数・国語・理科・社会の入試分析。


算数

例年どおり大問5つ。そのうち立体図形に関する出題が2つあった。図形に苦手意識を持っている場合は早めに解消する必要があるといえる。

解くのに時間を要するのが大問4、そして大問5の問3。他は素直な問題なので、焦らず落ち着いてこなしていけば、この2問を解く時間を確保することは可能だ。

大問I

計算問題とその延長。複雑なものではないので、手早くすませていきたいところ。

大問II

立体図形の問題だが、比較的平易な内容。円柱と円すいが融合したような立体をきちんとイメージし、体積と表面積を求める問題。

大問III

問題文をていねいに式に直せば、問1問2ともに難なく答えが出せる。桜蔭中を受験するだけの算数力があれば、素早くシンプルに正解にたどりつけるはずだ。

大問IV

まず数列の規則性に気づくのが最初のハードル。A列とB列をただ付き合わせているだけでは気づくことができない。A列B列それぞれの流れも検討するようなクセをつけておこう。

規則性に気づけば、問1と問2は問題なく答えが出せるはず。問3は「53番目の5」を特定するのに緻密さが要求される。そこさえクリアすれば、3桁になってからは3つずつ進んでいくことを考慮していけば解答可能。

受験算数の難問を攻略するやり方として欠かせない手法が「書き出し」である。実際に手を動かしてみたうえで、パターンを見つけて省力化していき、正解にたどりつく式を導き出していくというタイプの問題は、難関中学ならどこでも出題されうる問題。こういった問題に多く触れることで、抜け・漏れのないようていねいに書きだしていく「緻密さ」と、問題ごとに違うパターンを見抜くだけの「応用力」を磨いていきたい。

大問V

最後の大問は昨年と同じく、図形と旅人算の複合問題。しかし比重はかなり図形のほうに寄っている。

問1と問2の旅人算は簡単に答えを出せるだろう。問3は受験算数の頻出分野にして最難関の1つである、立体図形の切断。昨年の開成中でも大問4で出題されている。

特に今年の桜蔭中のように、他の問題の難易度が低めだった場合は、文字通り合否を分ける問題となる。難関中学を志す受験生にとって避けては通れない道なので、さまざまなパターンを熟知した指導者の下で、めげることなく取り組んでいってほしい。


国語

例年通り大問2つ。女子校の中で随一の記述量、そして出題されるテーマの重さは今年も同様だ。

大問I

本文はやや柔らかい文体で読みやすいが、受験生によく考えさせる角度からの出題をしている良問。

3つの記述が課されているが、いずれも本文中のものを抜き出したり言い換えたりするだけでなく、受験生自身の引き出しから書くことが要求されている。

とくに注目なのが問3。「具体的な例をあげて説明しなさい」という問いで、本文中に具体例もあげられているが、これに触れるだけでは明らかに埋めきることができないスペースの解答欄が用意されている。

この問題のヒントとなるのが、12行目の「農林水産業にしても、工業の各分野にしても、都市計画にしても、消費の全般的体制にしても」という箇所。本文中に挙げられた4つの分野に関する具体例をあげたうえで説明することで、はじめて解答欄のスペースに見合うだけの記述ができる。

具体例を挙げるには、社会や時事に関する知識が必要となる。だが、社会の知識をただ1問1答式に丸暗記するような学習しかしていない場合は、「七世代後のことも考えているかどうか疑問符がつくような、農林水産業が抱える問題の具体例」を自分の知識の中から引き出すのは困難である。

月次のテストで得点することのみに終始する受験指導者ではなく、トップレベルの学校がどういった出題をするのかをよく知っている受験指導者の授業を受けることは、入試当日に大きなアドバンテージとなるだろう。

余談だが、時事を軸とした出題は理科でも珍しくない。今年の桜蔭中の理科では2011年の節電を軸とした出題がなされているほか、昨年の開成中の理科でも、小惑星探査機はやぶさの帰還に関する出題が見られた。

漢字は完答できなければ厳しいレベル。毎日の計算・漢字トレーニングを当たり前のものとしてこなす習慣が望ましい。

大問II

飛べない鳥が飛べるようになるまでの物語のなかで、不安や寂しさ、肥大化したプライド等の葛藤の変遷をていねいに読み取らせる難問。

空欄補充1問と記述3問という構成になっており、記述は各シーンにおける主人公の気持ちを説明させるもの。

それぞれ流れに沿って記述していけば、まったく的外れな答案にはならないだろう。だが限られた試験時間の中で、二転三転する主人公の気持ちをどこまで追えるかが勝負となる。

特に問4は200文字以内という字数制限に収めなければならない。あまり書いたり消したりを繰り返している時間はないだろう。記述することそのものに時間を取られるタイプの受験生は、それだけ丁寧に本文を読み込み、主人公の心情を追うことが難しくなってしまう。

ここで大きく得点を伸ばせるかどうかは、合否そのものに影響してくるだろう。そのために絶対的に必要なものは「記述慣れ」である。実際に記述問題を解いてみて、添削指導を受ければ、必要な要素を読み取る能力・それを答案にまとめる能力、どちらも確実に伸ばしていけるのだ。

国語は他の3教科とは違い、明確な試験範囲がない。そのため、やろうと思えば4年生や5年生のうちから過去問に取り組むことも可能。「過去問は6年の夏から」といった固定観念に縛られることなく、ハイレベルな記述指導を早い段階から受けることが、記述を重視する学校に合格するための近道といえるだろう。


理科

大問3つの中に、物理・化学・生物・地学の要素がちりばめられている。全体的に平易な内容なので、つまらないミスをしないことがいちばん重要。最後の科目だが、集中力を切らすことなく臨みたい。

大問I

昨年夏の節電を軸とした大問で、温度変化と植物の知識に関する問題が出されている。やさしい部類に入るものが多いので、ここでは取りこぼしたくないところ。

難度が高いのは問6と問9の二つ。どちらも個別の植物の特徴を把握していないと得点できない。トップ校を目指すのであれば、隙間の時間を上手に活用して、細かな知識もきちんと追っていく必要がある。

大問II

化学に関する問題。奇しくも開成中と同じく、アルミニウムに塩酸をかけた際の反応がテーマだが、桜蔭中を受ける子たちなら十分に完答できる内容。ここでの失点は大変もったいない。

反応による気体の発生量を計算する箇所もあるが、けっして複雑な計算ではない。

ケアレスミスがあるとすれば、水上置換の図を描く際に、気体の発生量を正確にはかるためのものだという点を見落としがちなくらいか。

問6の正誤問題も、落ち着いて問題文を1つ1つ読めばミスはないだろう。

大問III

光の広がりと陰影の問題。スクリーンだけずらす・豆電球の位置だけをずらす等、あまり見られない形の出題だが、基本的な原理をきちんと理解できていれば、応用が利くだろう。

算数の空間図形が得意な受験生は、光の広がり方を想像しやすかったかもしれない。空間図形はこれからも、中学受験生に立ちふさがる難関となるだろう。


社会

大問3つの構成。それぞれ地理・歴史・公民とバランスよく出題されており、問題数も試験時間に対して多いというわけではない。焦らずていねいに取り組むことで、合格点をクリアすることは可能だろう。

理科もそうだが、このところやや易化が進んでいる傾向が見受けられる。算数と国語で大きく失点した場合、理科・社会での挽回は難しいということを意識したうえで日々の勉強に取り組む必要があるだろう。

あいまいな知識や聞きかじっただけの言葉に惑わされず、きちんと身に付けた知識を元に答えを絞り込んでいきたい。

大問I

地理の問題の中に、時事問題も散見される。極端に難しい知識が要求されるものはない。注目したいのは問4と問8の2つ。

問4はデータ群から県の特徴を読み取る問題。表に書かれた内容から県の全体像を類推する必要がある。覚えた知識を総動員して絞り込む作業に、少々時間が取られるかもしれない。ポイントを絞って差異を素早く見抜けるかがカギとなる。

問8は複数の選択肢から川の特徴を選ぶ問題。紹介されている川は8種類だが、実際に問われているのは4種類のみ。すぐに自信を持って選べる選択肢が見つからなくても、他の選択肢にちりばめられた言葉(「有機水銀」や「クリーク」等)から類推することで、絞り込んでいくことができる。桜蔭受験生なら完答が望ましい。

大問II

日本史全体を俯瞰した問題。なんらかの時代に弱点を抱えている受験生は、どこかで必ず失点するという構成。どの時代もぬかりなく知識を押さえたい。

注意が必要なのは「(あ)~(う)の中で正しいものを選びなさい。すべて間違っているなら(え)と答えなさい」という出題形式。消去法では答えを導き出せないようになっているため、やはり幅広い知識が要求されている。

大問III

公民に関する問題を中心として、時事問題も織り交ぜている構成。選択肢の中に公民知識と時事知識の両方が組み込まれている問題もあるため、正確な知識が要求される。時事を押さえつつ、日本国憲法の内容をよく理解しておく必要があるといえる。